美容師の手荒れ問題は誰も救世主になれない。休憩するのってダメな事じゃないよ?

三十路の主張

「手荒れしたことないのに知ったように言わないでよ!!」 2年前この言葉を言ってしまったことがずっと自分の中で引っかかっていました。 それは美容師の手荒れについての話をしたときに自分が旦那に言って当たってしまった一言。

どんなに手荒れしても辞めたくなかった仕事。 美容師。

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手荒れの酷かったアシスタント時代

美容師の仕事といえば長時間拘束、安月給、アシスタントのときはひどく手荒れする。 美容業界で働いていない一般の方でも、美容師に対してこのようなイメージを持たれている方は多いと思います。

私もそのド定番で、アシスタント時代とても手荒れが酷かった美容師の一人でした。 冬は自分のタイツをトイレで脱いで吐くのもひっかっかて痛い。 1日の仕事が終わると、ビニール手袋をつけた手で自分の顔を洗う。 自分のお風呂に入るのが一日の生活で一番つらい時間。 どんなにケアしても追い付かない。

夜寝る前に手袋をしても掻きむしって翌朝には黄色い汁のついた手袋がベットに転がっている。 入社し、シャンプーに入客するようになってからひどくなるまでは一瞬でした。

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同僚に言われた忘れられない言葉

酷い手荒れを見て見ぬふりして応援していてくれた家族や友達。 それとは裏腹に好き勝手言う同僚。

「そんだけ手荒れするってことは美容師向いてないんやで。」

「ホウキがハンドクリームでべたべた」

「荒れるのは自分でケア出来てないから。」

どうして同じ美容師なのにこの人たちは手が荒れないんだろう。 どうして同じ美容師に応援してもらえないんだろう。

今でも一番鮮明に残っているのは美容師経験ゼロのオーナーの奥さんに言われた一言でした。 割れまくってる関節が空気に触れると痒く、痛い。だから営業が終わると何枚もの絆創膏を指に巻いていました。

するとそれを見て言われたのは、 「浅沼さん、カッコ悪いよ。」 なんで美容師もしたことない人に、手荒れのつらさもわからない人に、こんな事言われなきゃいけないんだろう。 悔しくて、悔しくて、 帰り道涙が止まりませんでした。

そして美容師を辞めてマツエクの仕事に転職するとみるみるうちに手荒れは治っていきました。

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辞めた先に新しく幸せな未来があるかもしれない

そしてカナダで美容師を再び始めることになった時に、もう同じように手荒れはしたくないと思い、働き始めた時からシャンプーするときは手袋をはめていました。 そしてしばらく経ったころにオーナーに言われたのです。

「なんでいつもシャンプーの時グローブしてるの?クライアントは同じ料金を払ってるのにあなたにシャンプーされたら素手じゃないからフェアじゃない」と。

フェアって何基準で言ってんだよと思いながらも、 その日家に帰りその話を今の旦那にしたのがきっかけでした。

当時旦那が書いていたウェブマガジンのサイトの記事のテーマで『お客様をシャンプーする時に手袋をするのはありかなしか?』ということについての記事を書いたことがある。と。 そしてその記事を読んでみました。

色んな美容師さんが手荒れした人がサロンでグローブを使う事に対して意見を言ってる。 その中に旦那の記事も。 読み終わった私に旦那が言った言葉は、

「ツラければやめればいい。限界を通り越してまですることじゃないんじゃない?」

私はどうしてもその一言がその時素直に受け止めれず、 「手荒れしたことないのに知ったように言わないでよ!!」 そうキツく言い返し、「同じ立場になったこと無いのにそんな記事よくかけたね。」と。 言ってしまったのを覚えています。

旦那は素手でブリーチを触っても平気なくらい皮膚が強く、手荒れをした事がないそうです。私は何度もその記事を読み返し、1番側にいる人に自分がしてきた事を認めてもらえず、それでも続けたかった気持ちが分かってもらえないことに悲しみました。

と同時に、今後生きていく上で自分のこれからのことを思ってそう言ってくれたのに自分の言い返した言葉を後悔していました。 それから2年の月日が流れ、昨日初めて一緒に技術の講習に行く機会がありました。

昨日行った講習は、美容師が理容師に顔剃りを学ぶという内容。 講師の理容師さんが顔剃りに入る前に、クレンジングでモデルさんの顔をそっと撫でて動かす手つきがすごくキレイだったんです。 白くてキレイな指先 「自分の手が荒れてガサガサだったら出来ないですよね…」 ふと自分で言った言葉に考えさせられました。

「手荒れが治ってから出来ることが増えたなぁ…」と。 どうしても辞めたくなかった美容師。 その時スタイリストにはなれなかったけど、一度辞めて手荒れが治った事で今出来ることは確実に増えている。

我慢して手を掻きながらストレスフルに生活していた頃と比べると、 私は今、幸せです。 美容師を辞めて、マツエクが出来るようになった。

 

美容室を飛び出して、違う職場に行ってみると新しい人たちにも出会えた。

 

 

手荒れしてたときは出来なかった料理も出来るようになった。 タオルをたたむのも繊維が引っかかって辛かったけど、 家事で洗濯物をしたり、旦那にご飯を作れることが幸せに思う。 そして人に料理を出せるようになるなんて思いもしなかった。

 

 

もちろん美容師としても。今は自分の大切な人を施術出来ている。

 

 

血も汁もついてない、自分の手でお客さんの上着を預かれるようになった。 そんな小さな当たり前の事が出来るようになり、嬉しく思う。 そしてシャンプーのないカット専門店で働いてカットできるようにもなった。 今は自分のペースで勉強も続けている。

あの時スタイリストになれなければ今までやってきたことも、夢も目標も全て失ってしまうような気がしてました。

だからどんなに手が荒れてもしんどくても辞めたくなかった。 その時もっと柔軟に未来を考えれれば良かったなと思う。

旦那が記事に書いていたことや、言った言葉は、同じ体験をしていなくてもきっと何か良くなればいいと思ってかけた精一杯の言葉なんだと思う。

もし手荒れで同じ様に悩んでる人に会うことがあれば、きっと私は「それでもがんばって続けてスタイリストになったほうがいいよ。」とは声をかけれない。 一度休んで、体も心も回復したらまた始めたらいいと思う。

辞めて出来た時間で得るものは必ずあるはずだから。 そんなことをなんか真剣に考えてしまいました。 世間一般の美容師さんからしたら8年という歳月。 遠回りしたのかもしれないけど、 穏やかな気持ちで美容師を出来るようになって良かったと思っています。

美容業界は変わらない。救世主なんてこない。 自分の幸せは自分で作ってあげなきゃいけない。

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